登山届比較まとめ

登山届、どこに出せばいい?提出先・方法・未提出のリスクを完全ガイド【2026年版】 | yama-file.com
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登山届、どこに出せばいい?
提出先・方法・未提出のリスク
完全ガイド【2026年版】

遭難者の未提出率は岐阜県で63%。面倒と思われがちな登山届、実はスマホで1分で完結します。

2026年 yama-file.com編集部

① なぜ登山届が必要か――数字で見る現実

「面倒だし、まあいいか」。そう思って登山届を出さずに山に入る人は少なくありません。しかし現実の数字を見ると、考えが変わるはずです。

警察庁の統計によると、2024年の山岳遭難は2,946件・遭難者3,357人・死者300人。統計開始以来の高水準が続いています。そして遭難者の多くが登山届を出していませんでした。

遭難者のうち登山届未提出だった割合(2024年1〜9月)

岐阜県
63%
が未提出
出典:岐阜県警ヒアリング
富山県
39%
が未提出
出典:富山県警ヒアリング
長野県
33%
が未提出
出典:長野県警ヒアリング

出典:YAMAPマガジン「2024年遭難・事故状況とヤマップの安全への取り組み」(各県警・自治体ヒアリングによる参考数値)

北アルプスを擁する岐阜県では遭難者の6割以上が届を出していませんでした。「出していれば助かったかもしれない」という事例が毎年起きています。

登山届の提出が義務化されている山域があります。富士山(山梨・静岡側)・長野県の一部山域・岐阜県の一部山域など、条例で義務づけられているエリアでは提出は義務です。義務化されていない山域でも、提出は安全登山の基本マナーとして推奨されています。

2024年 遭難の原因(警察庁データ)

道迷い
30.4%
30.4%
転倒
20.0%
20.0%
滑落
17.2%
17.2%
疲労
10.2%
10.2%
病気
7.6%
7.6%

出典:警察庁「令和6年における山岳遭難の概況等」(2025年6月公表)

道迷いが最多で30%。登山届にルートが記載されていれば、捜索隊が優先して探すべきエリアを絞り込めます。記載がなければ山全体を探すことになり、発見が遅れます。

② 未提出だと何が変わるか

紙の届 vs ネット提出――捜索スピードの差

「登山口のポストに紙を入れてくればいいんじゃないの?」という方も多いですが、紙とネット提出では捜索現場での使われ方が大きく異なります。

比較項目 紙(登山口ポスト) ネット(コンパス等)
警察への共有 担当者が現地で回収・確認 警察が即座にオンライン検索
縦走(複数県) 入山県しか把握できない 複数県の警察が同時参照可能
下山通知 仕組みがない 未通知で自動的に緊急連絡先へメール
家族への共有 手動で連絡が必要 計画提出と同時に自動共有
再提出の手間 毎回印刷・持参が必要 登録済み情報を使い回し可能

ネット提出の最大のメリットは「下山通知」の仕組みです。下山予定時刻を過ぎても通知がなければ、登録した緊急連絡先(家族など)に自動でメールが届きます。紙の届にはこの仕組みがありません。

保険の補償額にも影響する

「やまきふ共済会」などの山岳保険では、登山届を提出することで救助費用の補償上限が500万円から1,000万円に倍増します。登山届は保険料を払わずに補償を上げられる唯一の方法です。出さない理由がありません。

💡 やまきふ共済会の例

登山届提出なし:救助費用補償 最大500万円
登山届提出あり:救助費用補償 最大1,000万円(倍増)

③ 提出先を比較する

登山届の提出先は主に5種類あります。それぞれの特徴を整理しました。

提出先 対応エリア 警察連携 下山通知 料金 おすすめ度
コンパス推奨 全国対応 連携あり ◎ 自動 無料 ★★★★★
YAMAP 27府県(2024年末) 一部連携 ◎ 自動 無料 ★★★★☆
ヤマレコ 全国(コンパス経由) 連携あり ◎ 自動 無料 ※一部有料 ★★★★☆
警察・自治体へ直接 管轄山域のみ 直接 △ 手動 無料 ★★★☆☆
登山口ポスト(紙) 設置箇所のみ 回収次第 ✕ なし 無料 ★★☆☆☆

結論:コンパスが最もおすすめです。全国対応・無料・警察連携・下山通知のすべてが揃っています。YAMAPやヤマレコを普段使いしている方は、それらからコンパスに連携して提出するのが最も手軽です。

⚠️ コンパスの「落とし穴」――連携していない県がある

コンパスは全国で登山届を受け付けていますが、警察・自治体との連携協定は現時点で約32都道府県にとどまります。連携していない県にある山へコンパスで提出しても、警察が自動的に閲覧できるわけではありません。

コンパス 都道府県警・自治体との連携状況(2026年3月確認)
コンパス連携自治体マップ

緑色のエリアが連携済み自治体。出典:コンパス公式サイト

※地図はコンパス公式サイト掲載のもの(2026年3月確認)。連携状況は随時更新されます。最新情報はコンパス公式サイトでご確認ください。

「要確認」県の山に登る場合は、コンパス提出に加えて県警への直接提出(FAX・メール)を併用するか、登山口ポストへの紙の届提出も行うと安心です。

④ スマホで1分、コンパスの使い方

「面倒そう」と思っている方、一度登録してしまえば次回からは驚くほど楽になります。慣れれば1分以内で完結します。

1
アカウント登録(初回のみ)
コンパスのサイトまたはアプリで無料アカウントを作成。氏名・緊急連絡先・装備などを一度登録すると、次回以降は自動入力されます。
2
登山計画を作成・提出
地図上でルートを選択するか、「簡易申請」モードで山名・日程・ルートを入力。登山口から登山口まで指定するだけでOK。提出ボタンを押すと、警察と緊急連絡先に自動共有されます。
3
下山後に「下山通知」を送る
無事に下山したら、メールのリンクまたはアプリから下山通知を送信。これをしないと、下山予定時刻の7時間後に緊急連絡先へアラートメールが届きます。
💡 もっと楽にする方法

YAMAPユーザー:YAMAPで作成した登山計画を、ボタン1つでコンパスに連携提出できます(対応府県のみ)。
ヤマレコユーザー:コンパスのID連携設定をすれば、ヤマレコで計画作成→コンパスへ自動提出が可能(プレミアムプランで全機能対応)。
日帰りハイキング:コンパスの「簡易申請」を使えば、山名と日付だけで30秒提出できます。

提出先まとめリンク

⑤ 下山後にやること

登山届を出したら終わりではありません。「下山通知」を忘れずに送ることが、登山届の仕組みを完成させる最後のステップです。

通知しないと… 通知すると…
下山予定の7時間後、緊急連絡先に自動でアラートメール
→ 家族が警察に問い合わせ、大騒ぎになることも
緊急連絡先に「無事下山」メールが届く
→ 家族が安心できる

下山直後は疲れていて忘れがちですが、登山口に着いたらすぐスマホを開いて通知する習慣をつけましょう。

📋 この記事のまとめ

  • 2024年の山岳遭難は2,946件・死者300人。遭難者の未提出率は岐阜63%・富山39%・長野33%
  • ネット提出なら警察が即座に検索できる。紙は担当者が大量の届から探す必要がある
  • 登山届提出で山岳保険の補償が最大2倍になる保険もある
  • 提出先はコンパスが最もおすすめ(全国対応・無料・警察連携・下山通知あり)
  • コンパスも連携していない県があるので、要確認県では直接提出も併用を
  • 下山後の「下山通知」を忘れずに。7時間後に緊急連絡先へ自動アラートが届く

※本記事の情報は2026年3月現在のものです。コンパスの連携状況は随時更新されています。最新情報は各公式サイトでご確認ください。遭難統計の出典:警察庁「令和6年における山岳遭難の概況等」(2025年6月公表)、YAMAP MAGAZINE(各県警ヒアリング)。

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