【富士山閉山期】滑落死亡事故に市長「考え方がずるい」
──救助費用自己負担めぐりXが揺れた
2026年4月、閉山中の富士山で滑落事故が相次ぎ、30代の日本人男性が死亡した。富士宮市の須藤市長が「考え方がずるい」と怒りのコメントを発表し、Xで大きな反響を呼んだ。救助費用の自己負担問題、そして「なぜ禁止できないのか」という根本的な議論に火がついた。
事故発生──ポーランド人男性の証言で発覚
日本人男性の遭難は、先に救助されたポーランド人男性の証言によって初めて発覚した。もし証言がなければ、そのまま誰にも気づかれず行方不明のままだった可能性もある。
【閉山中】富士登山中に滑落、外国籍男性を救助 「日本人が滑落した瞬間に自分も」https://t.co/OYHlA5H0yj
— ライブドアニュース (@livedoornews) April 7, 2026
6日午前、閉山中の富士山を1人で登山していた外国籍の男性が滑落しヘリコプターで救助された。また、ほかに日本人も滑落したと話しており、警察は遭難者を探している。 pic.twitter.com/01JqCk9AVt
富士宮市長「考え方がずるい」
事故を受け、静岡県富士宮市の須藤秀忠市長(79)が怒りのコメントを発表した。「あっちは勝手に登りたいと言っても、こっちは責任上・人道上、どうしても助けなきゃならない」と述べ、防災ヘリ救助費用の遭難者自己負担化を改めて県・国に要望していくと明言した。
富士山閉山中に登山者の滑落が相次いでいる件を受け
— あーぁ (@sxzBST) April 12, 2026
須藤市長「遭難しても助けてもらう時は自己負担がなくて済む、考え方がずるい」
「救助費用の遭難者負担を引き続き県や国に要望していく」
前もこの市長さん、中国人登山者に怒ってたんだよな。これは全面的に支持! pic.twitter.com/aDpnm3TjrI
この話題で思い出す人が続出──2019年ニコ生配信滑落死亡事故
富士山でニコ生配信しながら滑落した人思い出した
— 朔夜 (@Pseude_Dolls905) April 12, 2026
「怖すぎる」──冬富士を知る人たちの声
80を過ぎた父(山岳会に所属し、北アルプス等で冬山登山を毎年経験。おかげで膝は悪く、右手の指は凍傷で動きません)が昔、真冬の富士山に登ったそうです。冬山装備は必須で斜面がツルツルに凍り、上にいた登山者が滑落し、同行の先輩がピッケルを斜面に突き刺し、どうにか止められたとか。怖すぎです。
— けんしゅー (@N9HfwarljWMJhzR) April 12, 2026
「保険未加入なら自己負担に」──具体的な提案も
普通に登山保険に入っていない登山者の入山は自己責任にしてしまえばいい。
— kazu (@dark_glay1080) April 12, 2026
特に閉山期間は登山保険に入っていない登山者は救助費用の8割から10割を本人に負担させる形で!
"閉山中の富士山で滑落相次ぐ 市長怒り「考え方がずるい」救助費の遭難者負担を要望" https://t.co/czVwxzdn5V
なぜ禁止できないのか──「登山権」という厄介な問題
「禁止すればいい」という声は多いが、現実はそう単純ではない。富士山の登山道は道路法上の「道路」にあたり、冬季閉鎖中の登山道への立ち入りは同法第46条違反となる可能性がある(6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。ただしこれはあくまで「指定された登山道」の話だ。
問題の核心は、登山道以外からの入山を禁じる法律が存在しないことにある。山そのものへの立ち入りを禁止するためには、国有地・民有地の権利関係、憲法上の移動の自由、そして登山者が長年主張してきた「登山の自由(登山権)」との整合性を整理した上で、新たな立法措置が必要になる。さらに富士山は8合目より上が富士山本宮浅間大社の私有地という事情も話を複雑にしている。「禁止してほしい」という市民感情と「禁止する法的手段がない」という現実の溝は、いまも埋まっていない。
野口健氏「この議論を真剣に始めた方がいい」
アルピニストの野口健氏は、閉山期入山問題の「法的根拠のなさ」という本質を長年指摘し続けている。感情論でも外国人叩きでもなく、仕組みとして解決しなければ同じことが繰り返されるという指摘は重い。
そして、最大のポイントは閉山期の富士山登山が法的根拠を持って禁止されているのかどうか。 つまり違法なのかどうか。地元行政の方々の意見は曖昧。明確に「違法であり罰則の対象になる」とのコメントを聞いた事がない。ニアンス的には「閉山期の登山は控えてほしい」といったもの。 我々、登山家の感覚とすると閉山期とはあくまでも「山小屋が営業していない期間」というもの。少なくとも僕が学生の頃はそうだった。厳冬期の富士山で普通に合宿をしていた。一軒だけ冬も営業している山小屋が五合目にあり、そこからの往復が山頂付近にテントを張ったりしたものです。 閉山期の富士山登山を禁止というのならば、それは法的拘束力を持たなければなんら意味がない。この議論を富士山に関わる市町村、両県は真剣に始めた方がいい。
— 野口 健 (@kennoguchi0821) 2025年5月
- 2026年4月6日、閉山中の富士山で滑落事故が相次ぎ、30代の日本人男性が宝永火口付近で心肺停止で発見された
- 富士宮市・須藤市長が「考え方がずるい」と怒りのコメント。ヘリ救助費用の遭難者負担化を改めて要望した
- 閉山期の登山道立ち入りは道路法で違反となる可能性があるが、山全体の入山禁止には法的根拠がない
- 厳冬期富士山はヒマラヤ遠征隊も訓練に使う極地的環境。「日本一の山」というイメージとの落差が命を奪い続けている
- 「禁止してほしい」という感情と「禁止できない」という法的現実の溝を埋めるには、立法措置しかない
